\mRNAで心筋梗塞後の心臓を救う/ 複数mRNA同時投与により心筋梗塞後の難治性心不全を治療 ―ナノミセル型キャリアがmRNAを心臓に届ける新技術―(位髙研がSmall Science誌に発表) 2026.05.29 Research mRNA研究チーム長 位髙 啓史 教授 概要 大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科の医師・伴田一真さん、河村拓史助教、宮川繁教授および、大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER) 臨床生命工学チーム(大阪大学ワクチン開発拠点 先端モダリティ・ドラッグデリバリーシステム研究センター 兼務)の位髙啓史教授らによる研究チームは、心筋梗塞のあとに弱った心臓の回復に役立つ5つの遺伝子の組み合わせを見つけました。そして、それらを新しい創薬モダリティとして注目されるmRNAとしてまとめて心臓に届けることで、心臓の働きを改善し、生存率を高められることを世界で初めて明らかにしました。mRNAは、新型コロナウイルスワクチンでも使われた新しい創薬の技術で、クスリやワクチンとなるタンパク質をmRNAの形で投与して、目的のタンパク質を体内で産生させる仕組みで働きます。mRNAを用いることで、心筋梗塞後の心不全のように、炎症、線維化、細胞死、血流低下など複数の異常が同時に進む病気に対して、複数の治療因子を組み合わせて投与することが可能となります。研究グループは、こうした複雑な病態に対して、これまでiPS細胞を用いた治療に取り組んできました。その治療のしくみを詳しく調べることで、心筋の回復に役立つ5つの遺伝子(Hgf, Igf1, Pdgfb, Cxcl12, Tgfb1)を見いだしました。さらに、それらをmRNAにして、位髙教授が開発した投与部位に炎症を起こさない「ナノミセル型mRNAキャリア」に包み、効率よく心臓へ届けることで、心筋梗塞によるダメージを抑え、心臓の働きや生存率を改善できることを明らかにしました。これにより、複数のmRNAを組み合わせて複雑な病態に対応する新しい治療の土台が築かれ、今後、心疾患に対する新しいmRNA医薬、核酸医薬や再生治療の開発につながることが期待されます。本研究成果は、国際科学誌「Small Science」に、5月23日(土)(日本時間)に公開されました。 詳しくは、阪大ResOUへ 大阪大学感染症総合教育研究拠点 位髙研究室 EurekAlert!の記事 AlphaGalileoの記事 Asia Research Newsの記事 2026年6月2日 日本経済新聞 オンライン「心筋梗塞後の心臓が回復、複数のmRNA投与で 大阪大がマウス実験」 2026年6月2日 NHKほっと関西「遺伝物質「mRNA」複数投与し心臓病改善 阪大でマウス実験」 Back to Research