拠点長メッセージ

大阪大学ワクチン開発拠点 
先端モダリティ・ドラッグデリバリーシステム
研究センター 拠点長

審良 静男 Akira Shizuo

2019年の暮れに出現した新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、世界の社会・経済に破壊的な影響を与えました。人類の歴史は病原体との攻防の歴史と言っても過言ではなく、エジプトのミイラにその痕跡を残す天然痘、幾度となく史書に登場するペスト、第1次世界大戦の集結を早めたともいわれるスペイン風邪(インフルエンザ)など、これまで我々は度々感染症の恐怖にさらされてきました。

一方、WHOは1980年に天然痘の根絶を宣言しましたが、本感染症の制圧にワクチンが大きく貢献しました。ワクチンは病原体に対する獲得免疫を人工的に生体に誘導する医療技術であり、安全で有効なワクチンの開発には病原体とヒト免疫応答にかかる医科学研究はもとより、ワクチンのモダリティと送達技術の開発が必須です。

本拠点は、令和3年に閣議決定された「ワクチン開発・生産体制強化戦略」を踏まえ日本医療研究開発機構(AMED)に設置された先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の事業として、ワクチン開発のための世界トップレベルの研究を遂行すべく設立されました。拠点には先端モダリティ・DDS研究センター(CAMaD)を設置、将来パンデミックを起こす可能性の高い病原体に対して有効で安全なワクチンを迅速に開発し、社会実装できるシームレスな研究体制を整備します。平時から病原体に対する生体応答と発症機構を解明するための医科学研究を遂行し、臨床研究を担う中核病院やワクチンの製造と供給を担う産業界との強力な連携体制を構築し、有事にはオールジャパン体制で速やかに社会へワクチンを供給します。

さらに、本拠点が目指す「研究成果のシームレスな社会還元による感染症の予防と制御」は、感染症だけでなく、がんや生活習慣病などの疾患にも応用可能であり、健康寿命の延伸による高齢化社会問題の解決への貢献も期待されます。本拠点ミッション実現のため、拠点構成員一同が高い志を以て邁進してまいります。