抗体によるT細胞応答の新たな制御機構の発見-自己免疫、アレルギー疾患の制御法や最適化ワクチン抗原の開発への応用に期待-(荒瀬研がNat. Commun.誌に発表) 2026.04.23 Research 免疫・病原体相互作用研究チーム長 荒瀬尚 教授 概要 大阪大学免疫学フロンティア研究センターの荒瀬尚教授(微生物病研究所/先端モダリティ・ドラッグデリバリーシステム研究センター/感染症総合教育研究拠点兼任)らと東北大学・東京科学大学・信州大学・理化学研究所の研究グループは、新たな免疫制御機構として、免疫応答の際に「MHCと抗原ペプチドの複合体」に対する抗体が産生され、それがT細胞の認識を阻害することで過剰なT細胞応答を制御していることを発見しました。 従来、生体内で産生される抗体は、抗原のみを認識すると考えられてきました。しかし本研究グループがマウスモデル(抗原を投与することで免疫反応を起こさせたマウス)で産生される抗体を解析した結果、特定の抗原ペプチドを提示したMHCのみを認識する抗体、すなわちT細胞受容体と同様の認識能を持つ「免疫誘導性T細胞受容体様抗体(Immune-induced TCR-like antibody:iTab)」が産生されることを見出しました。 さらに、このiTabが、T細胞受容体の認識と競合することによって、抗原特異的なT細胞応答を抑制することを明らかにしました。加えて、多発性硬化症のモデルマウス(実験的自己免疫性脳脊髄炎:EAE)において、iTabが自己免疫疾患の発症を抑えることから、iTabが免疫応答の制御において重要な役割を担うことも示されました。 今回明らかにしたiTabの誘導アプローチを応用することで、標的抗原が明らかになっている自己免疫疾患やアレルギー疾患に対して新たな治療の開発が期待できます。また、iTabの産生を誘導しない抗原を設計することによる持続性の高いワクチン抗原の最適化にも応用が期待できます。本研究成果は、国際学術誌「Nature Communications」に、4月16日(木)18時(日本時間)に公開されました。 詳しくは、阪大 ResOU へ Back to Research