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免疫vsマラリア原虫 攻防の鍵を握るタンパク質RIFINの機能を解明。ワクチン開発にも期待(岩永研がNature誌に発表)

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免疫・病原体相互作用研究チーム  岩永 史朗 教授
免疫・病原体相互作用研究チーム長 荒瀬 尚 教授

概要
 大阪大学微生物病研究所の迫口瑛史助教(研究当時)、荒瀬尚教授(免疫学フロンティア研究センター兼務)、岩永史朗教授らの研究グループは、英国・オックスフォード大学のMatthews K. Higgins教授との共同研究により熱帯熱マラリア原虫とナチュラルキラー細胞が、それぞれ感染赤血球表面タンパク質と受容体を介して、互いに認識し攻防することを明らかにしました。

 これまで熱帯熱マラリア原虫は感染赤血球表面上のRIFINというタンパク質を使い、免疫細胞を抑制することが明らかとなっていましたが、ヒト免疫細胞側の応答や攻撃については不明でした。

 今回、研究グループはRIFINがナチュラルキラー細胞の抑制化受容体を刺激してその機能を抑制する一方で、ナチュラルキラー細胞は活性化受容体を介して原虫感染赤血球を特異的に攻撃することを明らかとしました。さらに同定したRIFINと類似のRIFINは世界中の原虫株に存在し、原虫とヒトは共通の機構で攻防することを明らかとしました。これらのことより、ナチュラルキラー細胞の受容体と結びつくRIFINを標的とした新たなマラリアワクチンの開発が期待されます。

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