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ワクチンや自然感染で生じた抗体から逃れやすいロタウイルスの遺伝子型を特定(小林研がmBio誌に発表)

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ウイルス解析研究チーム 小林 剛 教授

概要
 大阪大学 微生物病研究所の小林 剛 教授(大阪大学ワクチン開発拠点 先端モダリティ・ドラッグデリバリーシステム研究センター兼務)を中心とした、米国バンダービルト大学、タイ国チェンマイ大学、大阪大学日本・タイ感染症共同研究センター、日本大学等から成るチームは、ロタウイルスの外殻タンパク質VP4およびVP7の遺伝子型が、ワクチンや自然感染によって産生された抗体に対してどれほど影響を及ぼすかを調査しました。
 ヒトロタウイルス「Odelia株」を基盤とし、VP4またはVP7遺伝子を他の臨床分離株や動物由来株に置換した再集合ウイルス(モノリアソータント)を網羅的に作製しました。その結果、VP7の遺伝子型が抗体による中和感受性に大きく影響することが明らかになりました。特にG2型、コウモリ由来のG3、G11、G12、G25、G33型は、ワクチン接種や自然感染による抗体に対する感受性が低く、今後の流行を引き起こす可能性があります。さらに、VP7タンパク質のドメインI領域が中和感受性の決定因子であることが示され、新たなワクチン設計に有益な知見が得られました。

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