病状の指標となる液性因子に応じて薬効タンパク質の産生量を自動調整する次世代mRNA医薬を開発 -副作用を抑えた精密医療への応用に期待-(位髙研がNPG Asia Materials誌に発表) 2025.06.11 Research mRNA研究チーム長 位髙 啓史 教授 概要東京科学大学(Science Tokyo) 総合研究院 生体材料工学研究所の中西秀之助教(現 大阪大学 感染症総合教育研究拠点(CiDER) 特任講師(常勤))と位髙啓史教授(現 大阪大学 感染症総合教育研究拠点(CiDER) 教授、東京科学大学 総合研究院 核酸・ペプチド創薬治療研究センター(TIDEセンター)特命教授を兼任)は、ホルモンなどの液性因子を検知し、それに応じて投与されたmRNAからタンパク質への翻訳が調節される、新しいタイプのmRNA医薬を開発しました。このmRNA医薬は、液性因子の検知を担う受容体部分を変更することで、さまざまな液性因子に対応可能です。抗利尿ホルモンや疼痛関連分子など、種々の液性因子を検知し、それに応じてmRNAからのタンパク質産生量が制御できることを確認しました。また、炎症の指標となるプロスタグランジンE₂を検知対象とし、抗炎症性タンパク質を産生するmRNAを制御することで、炎症シグナルを抑制できることも示されました。このように、日々変化する病状や病態を反映する液性因子を検知し、それに応じてmRNAからのタンパク質産生量を調節することにより、薬剤やワクチンとしての効果や安全性を高める、新たな創薬アプローチにつながることが期待されます。 詳しくは、阪大ResOUへ Back to Research