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大腸菌の“触手”を原子レベルで解明!病原菌の付着メカニズムに迫る(中村研がStructure誌に発表)

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ゲノム解析研究チーム 中村 昇太 准教授

概要
 大阪大学微生物病研究所 中村昇太 准教授(大阪大学ワクチン開発拠点 先端モダリティ・ドラッグデリバリーシステム研究センター兼務)、大阪大学大学院薬学研究科 河原一樹 助教(大阪大学感染症総合教育研究拠点兼務)、京都大学生存圏研究所、理化学研究所、高輝度光科学研究センターの研究グループは、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)が腸内に付着するために用いる「線毛」と呼ばれる繊維状の構造を、最先端のクライオ電子顕微鏡で観察し、世界最高レベルの解像度でその詳細な立体構造を解明しました。今回解析されたのは、I型およびIV型という2種類の線毛で、それぞれ異なる構造と形成機構を持つものです。特に、線毛の内側および周囲に分布する数千個に及ぶ水分子の存在が確認され、これらが線毛の安定性や柔軟性、さらには細菌が宿主に付着する際の力学的性質に深く関与していることが明らかになりました。これらの構造的知見は、線毛が薬やワクチンの標的となる理由を分子レベルで説明可能にし、抗菌薬耐性の増加に対抗する新たな治療戦略の礎となることが期待されます。

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