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新手法「scSPOT」により制御性T細胞の機能を解明! ~重度ウイルス感染症のバイオマーカーへの発展に期待~ (Wing研がNat. Commun.誌に発表)

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免疫・病原体相互作用研究チーム  James Wing 教授

概要
大阪大学感染症総合教育研究拠点のJonas Søndergaard特任助教(常勤)、James Badger Wing教授らの研究グループは、マスサイトメトリー(CyTOF)を用いた新たな手法「ヒトTregの単一細胞抑制プロファイリング」(scSPOT)を開発し、免疫システムの重要な制御因子である制御性T細胞(Treg)の機能を研究しました。

この研究により、Tregが主に細胞分裂の停止やエフェクター分子の減少を含む複数のメカニズムを通じて、CD8 エフェクターメモリー(EM) T細胞と呼ばれる特定の免疫細胞を標的にしていることが明らかになりました。また、FDA承認の2種類の薬剤(イピリムマブとタゼメトスタット)が異なるタイプのTregsに作用することで機能することが明らかになりました。

今回の研究により、研究グループによる以前のCOVID-19研究を基に、重度のウイルス感染症のバイオマーカーとなり得るTreg特異的パターンが発見されました。この包括的なアプローチは、さまざまな疾患に対する新しい治療法の開発を加速させる可能性を秘めています。今後、この新しい手法が活用されることで、制御性T細胞が複雑な免疫環境の中でどのように機能しているのか、人体での現象に近い形で、より明確にわかるようになり、自己免疫疾患からがんに至るまで、より良い治療法の開発を促進することが期待されます。

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