Research

ヒトの腸内で樹状細胞が異物を感知する仕組みを解明(竹田研がPNAS誌に発表)

  • Research

臨床研究チーム 竹田 潔 教授

概要
大阪大学大学院医学系研究科の猪頭英里特任研究員(常勤)、村上真理助教、竹田潔教授(免疫学フロンティアセンター兼任)らの研究グループは、ヒトの腸管で樹状細胞が腸管管腔内の異物を認識するメカニズムを解明しました。
樹状細胞は腸管へ侵入した異物を最前線で感知する重要な働きを担っています。研究グループは過去にマウスにおいて、腸内細菌代謝物であるピルビン酸とGタンパク質共役型受容体のGPR31が異物の感知に重要な役割を持つことを報告していました。しかし、ヒトにおいてどのように樹状細胞が管腔内の異物を感知しているのかはこれまでに明らかになっていませんでした。
今回、研究グループは1細胞トランスクリプトーム解析によりGPR31がヒト腸管の通常型1型樹状細胞に特異的に発現していることを同定しました。さらに、iPS細胞と腸管オルガノイドの技術を用いた共培養システムを構築することにより、ピルビン酸がGPR31を介して通常型1型樹状細胞を活性化し、これにより樹状突起を腸管の管腔内まで伸ばすことで異物の取り込みが促進することを解明しました。
本研究成果は、ヒト腸管樹状細胞が管腔内へ樹状突起を伸展させるメカニズムの解明という基礎研究のみならず、腸管の免疫を活性化することで腸管感染症の予防や粘膜ワクチンの有効性向上の臨床応用に貢献することが期待されます。

Back to Research