CAMaDでは、次世代のワクチン開発や感染症学・免疫学研究をリードする若手研究者の育成を重要なミッションの一つに掲げており、これらの分野において研究を行う若手研究者を対象に、海外での研究活動に参画するための支援を行っています。今回は令和６年度の採択者を順番に紹介いたします。

学 会 名：The annual American Society of Human Genetics (ASHG) meeting 2024
開 催 地： Colorado Convention Center（アメリカ合衆国　コロラド州デンバー）
渡航期間： 2024年11月5日～2024年11月11日

大阪大学大学院医学系研究科　遺伝統計学
助教
枝廣　龍哉

①発表
11月7日に「Single-cell analyses with host genetics reveal the cell state-dependent genetic regulation of
transcriptional profiles and T and B cell receptors repertoire in immune cells from 234 Japanese
including COVID-19 patients and healthy subjects」という、single-cellデータを用いたmolecular
quantitative trait loci（QTL）に関する内容でポスター発表を行った。
幸いにもReviewers’ Choice Abstract Awardにも選出されていた。著名な研究者達と長時間議論を行えたことは、非常に有意義であった。

②演題の聴講/情報収集
現在の研究が、single-cellデータを用いたmQTLであり、mQTLやsingle-cell関連のセッションを主に聴講した。
2022年アメリカ人類遺伝学会ではsingle-cell expression QTL（eQTL）に関するセッションが多く、今回発表した研究の方向性を決定するのに大きに役立ったが、2023年には同分野の発表はかなり限定的であった。今年はsingle-cell eQTLに関連する内容が多かったが、single-cellデータセットの規模感がこの1-2年でかなりスケールアップしていることを肌感覚で感じた。去年までは、1 million細胞あれば大規模データと感じていたが、もはや1 million細胞では中規模データとなりつつあり、10 million細胞のデータ構築が進んでいることに驚いた。

③交流
Single-cell eQTL関連で、複数の国際コンソーシアムに参加していることもあり（single-cell
eQTLGen、Asian Immune Diversity Atlas (AIDA)）、普段はWeb meetingやメールでやり取りをしている共同研究者とface-to-faceで議論を行い、食事をした。また、日本から参加された研究者とも交流を行えた。

以上、2024年アメリカ人類遺伝学会 Annual Meetingにおける私の報告とさせていただきます。今回ご支援をいただいたCAMaDの関係者各位に改めて御礼申し上げます。今回の学会参加を通じて学んだことを、研究に還元していく所存です。何卒よろしくお願い申し上げます。