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令和6年度CAMaD 若手研究者海外派遣支援事業 活動報告

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CAMaDでは、次世代のワクチン開発や感染症学・免疫学研究をリードする若手研究者の育成を重要なミッションの一つに掲げており、これらの分野において研究を行う若手研究者を対象に、海外での研究活動に参画するための支援を行っています。今回は令和6年度の採択者を順番に紹介いたします。

学 会 名:17th International Congress on Toxoplasmosis in Berlin
開 催 地:Harnack-Haus - Tagungsstätte der Max-Planck-Gesellschaft zur
Förderung der Wissenschaften e.V. (ドイツ連邦共和国 ベルリン)
渡航期間:2024年5月25日~2024年6月1日(7日間)

大阪大学生命機能研究科4年次(博士後期2年)
所属研究室: 微生物病研究所 感染病態分野
端崎 恵巳 

本学会ではトキソプラズマについて73名の講義・口頭発表が行われた。発表テーマは9分類され、11セッションに区切られた。ポスターは122枚、前半と後半で掲示され、自分は前半で発表した。私はすべての発表会に出席し、合同の昼食・夕食にも全日参加した。
1日目:トキソプラズマの構造、分泌、侵入における課題の講義と患者組織内の寄生虫の検出方法、動態の評価、マイトリボソームについての口頭発表。
2日目:南米に重点を置いた、ヒトトキソプラズマ症の原因や症状の講義と、宿主オルガネラ、宿主侵入、免疫・免疫回避に関する口頭発表。ポスター発表会。
3日目:GTPase群依存的な細胞自律的免疫機構についての講義。トキソプラズマ症と老化・妊娠・合併症の関係、食肉や家畜中の感染評価等と、トキソプラズマの細胞周期関連の口頭発表。ポスター発表(続き)。
4日目:トキソプラズマの分泌や代謝オルガネラや膜の研究、環境適応や感染宿主細胞の変化などを取り上げた口頭発表。
最終日はEvent Location Wasserwerk Berlin でカンファレンスディナーが開催された。
本学会の意義
私の研究テーマは宿主免疫回避に関わるトキソプラズマ遺伝子探索と機能解析である。学会中に発表された
●宿主側・寄生虫側の様々なパラメータでの遺伝子スクリーニング結果
●タンパク質結合の網羅的評価方法や新規の膨張顕微鏡法などの技術
●新規の病原性因子や病原性抑制因子の発見
などが自身の研究において特に参考になると考えている。そのほか、離れた研究テーマでも非常に興味深い発表がいくつもあり、大変勉強になった。
自身のポスター発表時、15-20名の方が視聴し、有意義な質問や意見が得られた。ある教授から提案された実験を今後手掛ける予定である。そのほか、休憩や食事会で海外研究室の教授から学生まで様々な方と交流し、研究室や研究内容について対談した。トキソプラズマ研究は主に欧州と北南米の研究者が牽引しており、自身がこれまで参加した国内の寄生虫学会では出会えなかった。本学会では世界各国から187名のトキソプラズマ研究者が集積し、自分の研究対象について今までより広く深い議論に参加できた。これにより、トキソプラズマと、世界のトキソプラズマ研究者コミュニティそれぞれの全体像を知ることができた。これより、現研究室での研究遂行と研究者としての今後の活躍において、本学会での経験は大変有意義であると考えている。

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