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令和5年度CAMaD 若手研究者海外派遣支援事業 活動報告

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CAMaDでは、次世代のワクチン開発や感染症学・免疫学研究をリードする若手研究者の育成を重要なミッションの一つに掲げており、これらの分野において研究を行う若手研究者を対象に、海外での研究活動に参画するための支援を行っています。
今回は令和5年度の採択者の中から、1名の報告内容を紹介いたします。

大阪大学微生物病研究所
分子免疫制御分野 伊東瑛美(D4)

この度は、令和5年度CAMaD 若手研究者海外派遣支援事業に採択いただきありがとうございました。選考していただいた先生方に感謝申し上げます。本支援を受けて、フランス キュリー研究所を訪問しました。
 私は、博士課程研究において自然免疫型T細胞のひとつであるMAIT細胞の新規抗原の探索を行いました。MAIT細胞は、フランス キュリー研究所のOlivier Lantz先生によって発見された細胞で、細菌由来の抗原を認識するとされてきましたが、自己由来の抗原は長らく不明でした。そこで我々は、マウス組織成分からMAIT細胞活性画分を抽出し、初めての自己抗原として硫酸化胆汁酸を同定に成功しました。
 2022年5月にスウェーデンにおいて開催されたEMBO workshopで初めて本研究を発表するべく、渡航の前日に論文初稿を投稿し日本を発ちました。学会ではLantz教授に初めてお会いし、本研究内容についてディスカッションをさせていただきました。また、山﨑晶教授の勧めから、会議後にフランス パリの研究室を訪問しました。初めてのパリの街、その歴史に感銘を受けるとともに、研究室の活気、とりわけ同世代の学生が嬉々として研究を語る姿に圧倒されたことを覚えています。
それから2年が経ち、様々な機会でLantz教授には研究のご助言をいただき、キュリー研究所でポスドクとして受け入れていただくことが(ほとんど)決まり、そして、論文は本渡航の前々日にPublishされました。パリの街に降り立った時には2年前の興奮が甦り、また、この2年間の研究生活が思い返されました。

研究所構内には、キュリー夫人の放射線医学研究を知ることのできるキュリー博物館があり、様々な世代の方が足を運んでいました。研究発表は、博物館に隣接した歴史ある講堂で行わせていただきました。壁にはキュリー夫人が熱心に研究に取り組む写真が貼られており、背筋の伸びる思いでした。第一線でMAIT細胞研究をされている研究室の方々にどのような反応をいただけるか心配しておりましたが、非常に温かく受け入れ、興味を持っていただきました。質疑ではハッとさせられる質問を沢山いただき、有意義なディスカッションができました。その後、研究室の方々とお話しする機会をいただきました。とりわけ同世代のポスドクの方とは、2年前からの進捗を共有したり今後の研究生活について話したり、刺激的かつ楽しい時間を過ごさせていただきました。次にパリを訪れるときには、また一歩前に進んでいなければと奮い立たされる訪問となりました。
最後に、このような機会を与えてくださった山﨑晶先生に御礼申し上げます。いつも「やってみたら?」とチャンスをくださり、熱心にご指導いただき、気にかけ、背中を押し続けてくださることに感謝致します。

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